キャッシュレス社会になったらクレジットカードの必要が無くなるとか言っている人がいるんだけど…
日本政府はキャッシュレス社会化を推し進めようとしているのですが、それが実現した時にはクレジットカードは役目を終えるのではと言っている人が意外と多くて驚いています。
(マネー系のニュースサイトなどでその手のコラムをよく見ます)
僕も以前に「政府は国内産のQRコード決済を普及させたがっている」と書きましたが、クレジットカードが無くなるとは思っていません。
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的外れな批判記事
クレジットカードがキャッシュレスの中心になれないと主張する人たちのその理由を見ると、的外れなものばかりでびっくりします。
手数料が高い
クレジットカードの利用者が減っていくと主張している人の多くが決済手数料が高いことを理由にしています。
しかし電子マネーやQRコードによる決済手数料などには全く言及していません。
利用者の多い電子マネーのSuicaで約3%、Edyで4%なので、楽天ペイを利用した場合のクレジットカード決済手数料の3.24%(JCBやdinersは3.74%)とほとんど変わりはありません。
この数字を知らずに「クレジットカードは決済手数料が高い」と批判している人が多く存在します。
QRコード決済ならば手数料が安くなると考えている人もいるかもしれませんが、導入費用が安く抑えられるだけで、決済手数料が既存のサービスに比べて劇的に安くなることは無いでしょう。
最初はシェア争いによる値引き合戦や、政府からの補助金などで安く抑えられるかもしれませんが、普及してしまえば3%程度に落ち着くと思います。
中国のQRコードの決済手数料がほとんどかからないのはそれ以外の収入、リボルビング払いや分割払いによる利息収入があるからで、欧米でのクレジットカード決済手数料が日本に比べて安いのと理由が一緒です。
持てない人がいる
クレジットカードの審査は厳しく、正社員として働く人以外が持つのは大変なので、クレジットカードがキャッシュレスの中心になってしまうと困る人が出てくるので、それ以外の決済方法が必要と言う人がいますが、これも的外れです。
デビットカードを持てば良いだけです。
デビットカードは15歳以上にならないと保有することはできないで、それまではプリペイドカード(チャージ式)を持つことになりますが、15歳未満の子供が大きな買い物をすることは無いでしょうから問題は無いと思います。
しかし、デビットカードやプリペイドカードは日本ではまったく普及していません。
クレジットカードを使わない理由に「借金をするのが嫌だから」と言う人が多いのですが、その人たちのほとんどがデビットカードを使おうとはしません。
現金で支払いたいだけなのです。
便利な電子マネー
SuicaやPASMOやEdyといった端末にかざすだけで決済ができる非接触型の電子マネーは支払いの時は便利ですが、キャッシュレスになりいつもそれを使うとなると、チャージを頻繁にしなければいけなくなるのでかなり面倒です。
電子マネーが便利なのは小銭の代わりとして使う時だけで、普段使いには向いていません。
オートチャージにすれば面倒じゃなくなるかもしれませんが、それには現状クレジットカードが必要なので、クレジットカードの流通額が減ることはありません。
決済方法と支払い方法
・プリペイド(前払い)
・デビット(リアルタイム)
・ポストペイ(後払い)
キャッシュレスにしようとしたら、上の3つのうちのどれかを選んで、銀行口座からお金が引き落とされる仕組みを作らないといけません。
電子マネーやQRコード決済はプリペイド型のみなので、利用できないサービスもあります。
すべてに対応
クレジットカード決済(国際ブランドによる決済システム)は3つすべてに対応、特に後払いができるのはこれだけなので、需要が無くなることは絶対に無いと思います。
ただし、今のようなカードと言う形を将来もしているとは限りません。
磁気ストライプよりもICチップが主流になっていますし、そもそも通販で利用する場合にカード番号や利用期限などの情報を利用できていますから、スマホアプリにしてしまっても問題はありません。
プラチナカードやブラックカードと言ったステイタスカードが無くなってしまうのは寂しいですが…。
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VISA payWaveなどクレジットカードも電子マネーみたいな非接触型の支払い方法(コンタクトレス)になる
VISA payWave(ビザペイウェーブ)、Mastercardコンタクトレス、JCB Contactless(旧J/Speedy)、American Express Contactless、QuickPass(銀聯カード)など、クレジットカード各社がNFC(Near Field Communication・近距離無線通信)の技術を使ったNFC決済(コンタクトレス)の仕組みをここ数年で導入してきています。
SuicaやEdyと言って電子マネーに使われているFeliCa(フェリカ)もNFC技術のひとつなのですが、クレジットカードには何年も導入されてきませんでした。
それなのに対応が急加速した理由は何なのでしょうか?
安全対策と決済スピード
NFC決済の前に、VISAとMastercardはEMVと言うICチップの統一規格をクレジットカードに普及させようとしています。
(EMVはEuropay International、Mastercard、VISAの頭文字)
磁気カードやサインでの利用をこのまま続けると不正利用やカード情報の漏洩が増えてしまう恐れがあるので、より安全性の高いICカード+PINに切り替えていこうと言うものです。
EMV方式にするとカード番号を店舗が保持しなくて済むようになりますし、さらにコンタクトレスにすれば店員がカードに触れることもありませんので、セキュリティ面ではかなり改善されます。
改正割賦販売法
実は海外ではコンタクトレス決済はかなり普及していて、日本が遅れをとっているのですが、2018年6月に「割賦販売法の一部を改正する法律(改正割賦販売法)」が施行されました。
これにより国内の店舗はICカードに対応した端末を導入して行かないといけなく、その際にNFC決済にも対応させようと言うのが各クレジットカード会社の戦略になっているのだと思います。
特にVISAがこれに熱心で、VISAブランドのクレジットカードを発行しているクレジットカード会社に対し、payWaveに対応するようにかなりの圧力を掛けている様です。
(ネット上には2019年までに対応するか、契約を解除するかの判断まで求めていると書かれていました)
決済スピード
クレジットカードを使わない理由に「サインをするのが面倒で時間が掛かる」「PINコードを打つのに時間が掛かる」と言うのがあり、こういう人はSuica等の電子マネーを使う傾向があるのですが、コンタクトレスになればチャージする手間が省ける分だけクレジットカード決済の方が手軽になります。
Suicaの加盟店の10倍VISAの加盟店は国内にあるので、現在日常的に電子マネーを使っている人がコンタクトレスを使うようになれば、クレジットカードの決済金額は飛躍的に伸びるでしょう。
ただし、日本人の中には脊髄反射的に「クレジットカードは悪だ!」と考えている人がいるので、VISAの思惑通りにはならないかもしれませんが。
電子マネーなのか?
コンタクトレスは電子マネーなのか、クレジットカードなのかという議論もあるかもしれませんが、日本式の表現で言えば電子マネーになります。
NTTドコモが提供する「iD」のホームページを見ると、『いつもの暮らしにスッと溶け込む電子マネー「iD」』との記載があり、JCBの提供するQUICPayのホームページには『使う人ほどトクをする、電子マネーのQUICPay』との記載があります。
iDとQUICPayはポストペイ型(クレジットカード決済を使った後払い)、デビット型、プリペイド型のどれかで支払っているだけで、クレジットカードと何も変わりません。
日本では非接触型の決済のことを電子マネーと呼んでいるのです。
コンタクトレスの凄いところ
コンタクトレスのメリットはクレジットカードを電子マネーっぽく世界中で使えることです。
技術革新と普及エリアが広がれば海外で電車に乗る時に切符を買わずにコンタクトレス決済で改札を通過することもできるようになるでしょう。
「中国ではQRコード決済が進んでいてキャッシュレス社会が浸透している!凄い!」なんて言う人がいますが、旅行者にとってはローカルの仕組みが普及し過ぎているのは逆に不便です。
しかし、世界基準のコンタクトレスであるならば話は別でしょう。
日本政府も国産のフィンテック企業を生み出したかったのかもしれませんが、変にQRコード決済にこだわらずにJCB Contactlessの普及をサポートした方が良いように感じます。
クレヒスを育てよう
プリペイド式やデビット式があるので、クレジットカードを保有できないブラックの人でも大丈夫ですが、決済金額が増えた時にどんなカードを持つのか自分で選べないのは損でしかありません。
例えば「クレジットカードでマイルを貯めて無料で旅行に行って来た」なんて話を聞いたことがあるかもしれませんが、ANAカードとJALカードにはデビットカードはありません。
提携カードにスルガ銀行ANA支店のANAマイレージクラブFinancial Pass Visaとりそな銀行のVisaデビット
また、デビットカードは利用できないシーンが多い不便な物と言うことも忘れてはいけません。
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北海道地震の停電でクレジットカードや電子マネーが使えない!キャッシュレスは推進しない方が良いのか?
2018年9月6日の未明に起こった北海道地震で道内全域が停電となり復旧するのに3日間ほど掛かりました。
北海道は外国人観光客が多い地域なので、いろいろな問題が起こったのですが、その中のひとつにキャッシュレス、特にクレジットカードが利用できないと言う問題です。
ここ数年政府を中心にしてキャッシュレス社会を推進していますが、日本は地震や台風など災害が多く、停電になりやすいです。
東日本大震災の時もクレジットカードや電子マネーが使えなくて困ったという話もありますし、今回の震災でこのままキャッシュレスを推進して良いのかという疑問を持った方も多いのでは無いでしょうか?
キャッシュレスを勘違い
キャッシュレスと言うと現金を一切使わないことと考える人が多いみたいですが、クレジットカードや電子マネーを多用する人でも、現金をまったく持ち歩かないと言う人はほとんどいません。
現金も持っているけど、クレジットカードや電子マネーが使えるならばそれを利用しているだけと言う人がほとんどです。
キャッシュレスのメリット
・会計が早い
・ATMに定期的に行く必要が無い
・ポイントが貯まる
消費者のキャッシュレス化のメリットは上記の3つが主で、現金を持つ必要が無くなるとは誰も思っていません。
ましてや現金払い派の人と違って普段使わないので、財布の中には多くの現金が残っている可能性さえあります。
頑なに現金だけしか使えないお店を避ける人もいますが、それだと利便性が下がってしまい、何のためにキャッシュレスを実践してるのかわかりません。
(不便な思いをしてもキャッシュレスにこだわっている人は大抵ポイント乞食です)
ATM派
普段から現金払いにしておけば停電の時でも大丈夫と思うかもしれませんが、ATMの稼働が止まってしまうので、手元にお金が無いと意味がありません。
現金払いの人はATM派と言ってもおかしくないくらいこまめにおろしている人もいますので、現金派が良い、キャッシュレス派が良いと言った議論に意味は無く、こういう時の為に事前に用意できているかどうかが重要になると思います。
例えば防災バックの中に1万円(1,000円札10枚)くらい入れておくのはどうでしょうか?
こういう時の為に普段から現金しか使わないと言うのは、普段から防災かばんを持ち歩いているのと同じになります。
キャッシュレスは推進しない方が良い?
まったく現金を扱わないことによって管理コストを下げられるのが店舗側のメリットなので、有事の際に備えて一部でも現金決済の機能を残すのであれば、キャッシュレスのメリットを最大享受はできません。
停電時でも決済ができるようになるまでキャッシュレス化は推進しない方が良いのでしょうか?
災害時は現金もクソ
現金は万能と思っている人が多いですが、実際に現地にいると商品が無いので、現金を持っていても欲しいものは買えないことがほとんどです。
台風21号で関西国際空港に取り残された人が現金を持っているからと言って買い物できたでしょうか?
現在の日本では、物資が行き渡るよりも停電が復旧する方が早い場合がほとんどです。
例外となる地域、例外となる災害も出てくるでしょうが、万が一の時にために普段の便利な生活やコスト削減を捨てる必要はありません。
キャッシュレス生活をしていたとしても、少しの現金を保有しておけば良いだけです。
また、完全キャッシュレスに踏み切った店舗はレジに予備のバッテリーを用意しておけば良いのではないでしょうか?
キャッシュレス大国はどうなの?
北欧などのキャッシュレス化が進んだ国で停電になった場合どうなるかと言うと、特に混乱は起こらないそうです。
元々ヨーロッパでは土日は商店が営業していないので、数日分の食料を買いだめしておく文化があり、2~3日の停電で困る様なことは無いそうです。
結局災害で困るかどうかは、準備ができているかどうかみたいです。